
ギターの教科書
左利きなのに右利きギターで始めようか、真剣に悩んでいませんか。 ギター選びの最初の壁ともいえるこの問題は、多くの左利きの初心者にとって大きな関心事です。左利き用のギターと右利き用のギターは何が違うのか、そして自分の利き手の見分け方はどうすれば良いのか、基本的な疑問が次々と浮かんでくるでしょう。
結局、左利きはどうするべきなのか、明確な答えが見つからずに迷っているかもしれません。
この記事では、左利き用のギターのデメリットや、練習が難しいと感じて後悔しないための具体的な判断材料を詳しく解説します。一方で、左利き有利とされる理由や、左利き用のギターを選ぶことの魅力にも光を当てます。
さらに、レフティギターの右利きへの改造(その逆も)に関する情報や、多くの人が憧れる左利きの天才ギタリストは誰ですか?といった疑問にもお答えし、あなたのギター選びを全面的にサポートします。
この記事でわかること
- 右利き用と左利き用ギターの具体的な違い
- 左利きが右利き用ギターを選ぶメリットとデメリット
- 左利き用ギターを選ぶメリットと注意点
- 自分に合ったギター選びの最終的な判断基準
左利きなのに右利きギターを選ぶ際の判断材料

ギターの教科書
- 右利き用と左利き用のギターは何が違うの?
- ギターにおける利き手の見分け方とは
- 左利きはどうする?選択肢と判断基準
- 左利き用のギターのデメリットを解説
- 練習が難しいと感じて後悔しないために
右利き用と左利き用のギターは何が違うの?

ギターの教科書
ギターを始めようとする左利きの方が最初に直面する大きな疑問、それは「右利き用と左利き用では、一体何が違うのか」ということでしょう。結論から言うと、この二つのギターは、多くの場合単に左右を反転させた鏡写し(ミラーイメージ)の関係にあります。
しかし、その違いは単なる見た目の問題に留まらず、演奏のしやすさやサウンド、さらには上達の過程にまで直接影響を与える重要な要素ばかりです。
まず、最も分かりやすい違いは、ギターを構えたときの向きです。一般的な右利き用のギターは、左手でネックを握って弦を押さえ、右手で弦を弾いて音を出します。
一方で、左利き用(レフティモデル)はその役割が完全に逆になり、右手でネックを握り、左手で弦を弾くように設計されています。この基本的な構え方の違いが、楽器のあらゆる細部の設計に反映されているのです。
この構え方の違いに伴い、楽器の構造も細部に至るまで左右対称に作られています。具体的な違いを、より詳細な項目で見ていきましょう。
項目 | 右利き用ギター | 左利き用(レフティ)ギター | 演奏への影響 |
---|---|---|---|
構え方 | 左手で押弦、右手でピッキング | 右手で押弦、左手でピッキング | 演奏スタイルの根幹をなす最も基本的な違いです。 |
弦の張り方 | 構えた際、上側が太い弦(低音弦) | 構えた際、上側が太い弦(低音弦) | どちらのモデルも、重力に対して自然な形で低音弦が上にくるように設計されています。 |
ボディ形状 | 右利きの構えで体にフィットする | 左利きの構えで体にフィットする | 体に触れる部分のカーブや、高いフレットを弾きやすくするためのカッタウェイ(ボディのえぐれ)の向きが逆になります。 |
ピックガード | ピッキングする右手側を保護 | ピッキングする左手側を保護 | ピックによるボディへの傷を防ぐためのパーツ。これも構えに合わせて配置が逆です。 |
コントロール類 | 右手で操作しやすい位置に配置 | 左手で操作しやすい位置に配置 | ボリュームやトーンのノブ、ピックアップセレクターの位置が逆。演奏中の操作性に大きく影響します。 |
ナットの溝 | 低音弦側(上)が太く削られている | 低音弦側(上)が太く削られている | 非常に重要。弦の太さに合わせて溝が切られており、チューニングの安定性や弦の振動に直結します。 |
内部構造(アコギ) | サウンドを最適化するブレーシング(力木)が左右非対称に配置 | 右利き用とは逆の左右非対称パターンで配置 | 見た目では分かりませんが、ギターの「鳴り」や音質を決定づける重要な要素です。 |
見えない部分の違い:アコースティックギターの「ブレーシング」
アコースティックギターの内部には、ボディの強度を保ちつつ、豊かな響きを生み出すために「ブレーシング」と呼ばれる補強材が貼り付けられています。
この配置パターンはサウンドを決定づける心臓部とも言え、高音側と低音側で最適な響きが得られるよう、多くは左右非対称に設計されています。そのため、単に右利き用の弦を逆に張っただけでは、左利き用に設計されたギターと同じ豊かなサウンドは得られないのです。
このように、見た目だけでなく、演奏のしやすさやサウンドに関わる細部までが、それぞれの利き手に最適化されるように作られています。特に、弦の出発点であるナットの溝は、各弦の太さに合わせて精密に削られているため、右利き用のギターに知識なく弦を逆さまに張ることは絶対に避けるべきです。
注意:安易な弦の張り替えはNG
右利き用のギターに無理やり弦を逆順で張ると、細い弦が太い溝で安定せず、太い弦が細い溝に収まらないといった問題が発生します。これにより、チューニングが全く安定しない、弦がビビる(不要な振動音)、最悪の場合はナットが破損するといったトラブルの原因になります。改造するには専門的な調整が不可欠です。
これらの物理的な違いが、あなたの演奏スタイルや今後のギターライフにどう影響するのか。それを考えていくことが、後悔のない選択への確かな第一歩となるでしょう。
ギターにおける利き手の見分け方とは

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右利き用と左利き用の物理的な違いを理解した上で、次に考えるべきは「自分はどちらのギターを選ぶべきか」という核心的な問題です。これを判断するためには、まず「ギター演奏における利き手」の役割を正しく理解する必要があります。
なぜなら、日常生活での利き手(例えば、箸を持つ、字を書くなど)と、ギター演奏で最も効率的な手の役割分担は、必ずしも一致しない場合があるからです。
ギターの演奏は、弦を押さえて音程を変える「押弦(おうげん)」と、弦を弾いて音を出す「ピッキング」や「ストローク」という、全く性質の異なる二つの動作を両手で同時に行います。
一見すると、複雑に指を動かす押弦側の方が難しく、利き手を使うべきだと感じるかもしれません。しかし、多くの熟練ギタリストや指導者は、音楽の表現力を司るピッキング側にこそ、利き手を使うのが最も自然で有利だと考えています。
押弦とピッキングの役割分担
- 押弦する手(主に非利き手):正しいポジションを正確に、そして力強く押さえる役割。指の独立性や柔軟性が求められ、反復練習によって上達しやすいアスリート的な側面が強いです。
- ピッキングする手(主に利き手):リズムを刻み、音の強弱や音色といった音楽の表情(ニュアンス)を生み出す司令塔。繊細な感覚と表現力が求められ、利き手の器用さが活きるアーティスト的な側面が強いと考えられています。
このため、ギターにおける利き手は「ピッキングをどちらの手で行うとしっくりくるか」で見分けるのが一般的です。では、具体的にどうやって見分ければよいのでしょうか。いくつかのステップで自己診断してみましょう。
ステップ1:まずはエアーギターで試してみる
何も持たずに、好きな音楽に合わせてギターを弾く真似をしてみてください。このとき、無意識にどちらの手で弦を弾き、どちらの手でネックを握っているかを確認します。多くの場合、自然とピッキングする動作をしているのがあなたの利き手側です。これは、理屈で考える前の、最も直感的な反応と言えるでしょう。
ステップ2:代用品で構えてみる
次に、ほうきやテニスラケット、あるいは長めのクッションなどをギターに見立てて、実際に構えてみます。まずは右利きスタイル(左手で先端を握り、右手で弾く)、次に左利きスタイル(右手で先端を握り、左手で弾く)を試してください。
どちらの構えがより安定するか、体にフィットするか、腕が疲れにくいかなどを比較します。この時点で、どちらかに明らかな違和感を覚えることが多いはずです。
ステップ3:実際に楽器に触れてみる
最も確実なのは、楽器店で実際にギターを持たせてもらうことです。可能であれば、店員さんに事情を話して、右利き用と左利き用の両方を構えさせてもらいましょう。コードを押さえる必要はありません。
まずは開放弦を「ジャラーン」と鳴らしてみるだけで十分です。このとき、ピッキングする腕の振りやすさや、リズムの取りやすさに意識を集中させてみてください。
「クロスドミナンス(交差利き)」の可能性も
中には、字を書くのは右手だが、ボールを投げるのは左手といったように、動作によって利き手が異なる「クロスドミナンス(交差利き)」の方もいます。ギター演奏は、指先の緻密な動きと腕全体のダイナミックな動きが組み合わさっているため、こうした方は特に迷いやすいかもしれません。だからこそ、日常生活の動作に固執せず、実際にギターを構えた際の「フィーリング」を何よりも大切にすることが、後悔しない選択につながります。
もし、これらのステップを試しても両方のスタイルで大きな違和感がない場合、それはあなたがどちらのスタイルにも順応できる高いポテンシャルを持っている証拠です。その fortunate な場合は、後述するそれぞれのメリット・デメリットを冷静に比較検討し、ご自身の価値観や将来のギターライフにとって、より合理的だと思える方を選ぶと良いでしょう。
左利きはどうする?選択肢と判断基準
ご自身のギターにおける利き手の感覚が掴めてきたら、いよいよ具体的なプレイスタイルを選択する段階に入ります。左利きのあなたがギターを始めるにあたり、選べる道は決して一つではありません。
主に4つの主要な選択肢が存在し、それぞれに異なるメリット、デメリット、そして乗り越えるべき課題があります。どのスタイルが自分に最も合っているのか、ここでじっくりと考えてみましょう。
ここでは、各スタイルの概要と、どのような価値観を持つ人に適しているかの判断基準を、より深く掘り下げて整理します。
選択肢 | スタイル | 特徴 | こんな人におすすめ |
---|---|---|---|
① 右利き用で始める | 右利き用ギターをそのまま使用(右手でピッキング) | 最も現実的でトラブルが少ない選択肢。楽器や情報の入手が圧倒的に容易ですが、利き手ではない手でピッキングを習得する必要があります。 | 楽器の選択肢を最優先したい人、情報収集のしやすさを重視する人、違和感なく右利きスタイルに適応できる人。 |
② 左利き用を選ぶ | 左利き用(レフティ)ギターを使用(左手でピッキング) | 利き手でピッキングできるため、直感的で繊細なニュアンスの表現で有利とされます。ただし、楽器の選択肢が大幅に限られます。 | 演奏時のフィーリングやしっくり感を最優先したい人、右利きスタイルに強い違和感を覚える人、希少性に魅力を感じる人。 |
③ 右利き用を改造 | 右利き用ギターの弦を張り替え、左利き用に改造 | 特定のモデルへの強いこだわりを叶える選択肢。ただし改造費用や専門知識が必要で、楽器本来のバランスが崩れる可能性もあります。 | どうしても使いたい右利き用モデルがあり、費用をかけてでも左利きとして弾きたい人。ヴィンテージ楽器などを探す中〜上級者向け。 |
④ 右利き用を逆さまに | 右利き用ギターを改造せず、上下逆さまに構える | 弦の並びが通常と真逆になる極めて特殊なスタイル。既存の教則本は全く役に立たず、奏法を独自に開拓する必要があります。 | 唯一無二の個性を追求したい探求者向け。初心者にはまず推奨されません。 |
初心者の場合、現実的な選択肢は「① 右利き用で始める」か「② 左利き用を選ぶ」のどちらかになることがほとんどです。どちらの選択が絶対的な正解ということはありません。最も重要な判断基準は、「自分がモチベーションを保ち、楽しくギターを続けられそうか」という一点に尽きます。
もし、右利き用のギターを構えてみて強い身体的な違和感を覚えるなら、無理に自分を矯正してギターが嫌いになってしまっては本末転倒です。その場合は迷わず左利き用を選びましょう。逆に、特に違和感がなく、楽器選びの自由度や情報の多さに魅力を感じるのであれば、右利き用で始めるのが非常に合理的な選択といえるでしょう。
あなたの価値観はどれ?4つの判断軸で考える
最終的な決断を下すために、ご自身が何を最も重視するか、以下の4つの判断軸で考えてみることをお勧めします。
- 【多様性・経済性】を重視するなら → ① 右利きスタイル
市場に出回る9割以上のギターから自由に選べ、中古市場も豊富。予算に合わせて最適な一本を見つけやすく、将来的な買い替えや買い足しの際も選択に困りません。 - 【直感・表現力】を重視するなら → ② レフティスタイル
利き手でリズムや音の強弱をコントロールできるため、フィーリングを重視した直感的な演奏が可能になります。身体的なストレスなく、音楽表現そのものに集中したい場合に最適です。 - 【特定のモデルへの愛】を重視するなら → ③ 改造(コンバージョン)スタイル
「あのギタリストが使っていた、あのヴィンテージモデルでなければダメなんだ!」という強いこだわりがあるなら、この道を選ぶ価値があります。手間とコストはかかりますが、夢を叶える選択肢です。 - 【個性・探求心】を重視するなら → ④ 逆さま(アンダーストリング)スタイル
誰の真似でもない、自分だけの奏法とサウンドをゼロから築き上げたいという強い探求心を持つなら、このいばらの道がユニークな個性を生むかもしれません。

左利き用のギターのデメリットを解説

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「左利きなのだから、左利き用のギターを選ぶのが自然だ」と考えるのは当然のことです。しかし、その選択にはいくつかの現実的なデメリットが伴うことを事前に知っておく必要があります。これらの点を理解した上で判断することが、後々の後悔を防ぐことにつながります。
左利き用ギターを選ぶ際に直面する主なデメリットは、以下の3つです。
1. 圧倒的に種類が少なく、価格も割高
最大のデメリットは、市場に出回っている楽器の数が極端に少ないことです。ほとんどのメーカーにおいて、左利き用モデルは定番商品の一部にしか用意されていません。そのため、デザイン、色、仕様など、選べる選択肢が大幅に制限されます。大手ギターメーカーFenderの公式サイトを見ても、レフティモデルの数は右利き用に比べて限定的であることがわかります。
大型楽器店でも、100本の右利き用ギターに対して左利き用は数本あれば良い方、というのが実情です。また、生産本数が少ないため、同じモデルの右利き用に比べて価格が1〜2割ほど高く設定されているケースも珍しくありません。
2. 教則本や学習コンテンツが少ない
市販されているギター教則本やオンラインのレッスン動画は、そのほとんどが右利き奏者を前提に作られています。左利きの場合、解説されている図や写真をすべて脳内で反転させて理解する必要があります。
特に、コードの押さえ方を示す「コードダイアグラム」は、左右が逆になると混乱しやすく、慣れるまでは大きなハードルに感じるかもしれません。もちろん、左利き専用の教則本も存在しますが、その数は非常に限られています。
3. 他のギタリストとの楽器の貸し借りができない
友人やバンド仲間と「ちょっとギターを交換して弾いてみよう」といったコミュニケーションが取りにくい点も、地味ながら大きなデメリットです。他人のギターを弾くことは、新しい発見や自分の楽器を見直す良い機会になりますが、左利き用ギターではそれがほぼ不可能になります。
また、学校の部室やスタジオに置いてある共用のギターもほとんどが右利き用のため、気軽に手に取って練習することができません。
デメリットのまとめ
左利き用ギターは、楽器の選択肢の少なさ、価格、学習環境、そして互換性の低さという点で、右利き用に比べて不利な状況にあります。これらの点を許容できるかどうか、じっくり考えることが重要です。
練習が難しいと感じて後悔しないために
ギター選びで「後悔」しないためには、演奏そのものだけでなく、練習を続けていく上での環境も考慮に入れることが非常に重要です。特に、左利きの方がどちらのギターを選ぶかによって、練習の進めやすさに違いが出てくる可能性があります。
もしあなたが左利き用のギターを選んだ場合、前述の通り、教則本や動画の情報を左右反転して解釈する必要があります。最初は戸惑うかもしれませんが、人間の脳は順応性が高いため、続けていれば次第に慣れていくものです。「左利きの人は普段から世の中の右利き仕様に慣れているから問題ない」という意見もあります。
一方で、左利きの方が右利き用のギターで練習を始めた場合、利き手ではない右手で繊細なピッキングを行うことに難しさを感じるかもしれません。多くの右利きの初心者が苦労する左手の押弦は、利き手である左手を使うため比較的スムーズにできる反面、ピッキングのリズムキープや強弱のコントロールで壁にぶつかる可能性があります。
ポイント
どちらを選んでも練習は必要
結局のところ、ギターは両手を使う楽器です。どちらのスタイルを選んだとしても、初心者の段階では両手とも思い通りに動かないのが当たり前です。利き手側が少し有利な部分はあっても、もう片方の手が追いつかなければ上達はしません。
つまり、どちらを選んでも練習の総量に大きな差はないと考えるのが現実的です。
後悔しないための最も大切な心構えは、「最初に決めたスタイルを信じて、じっくり練習に取り組むこと」です。途中で「やっぱり逆のほうが良かったかも…」と考えてしまうと、モチベーションが低下し、挫折の原因になりかねません。

最終的には、楽器のスペックや周りの環境よりも、あなた自身の「弾きたい」という気持ちが最も重要です。その気持ちを維持しやすい選択をすることが、後悔しないための鍵となります。
左利きなのに右利きギター以外の選択肢と考察

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- 左利き有利?レフティを選ぶメリット
- 左利き用のギターの入手方法と注意点
- レフティギターを右利き用に改造できる?
- 左利きの天才ギターリストは誰ですか?
左利き有利?レフティを選ぶメリット

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これまで左利き用ギターのデメリットを中心に解説してきましたが、もちろんメリットも存在します。右利きスタイルに強い違和感を覚える方にとっては、デメリットを上回る大きな魅力となるでしょう。「左利き有利」とまで言われることもある、その理由を見ていきましょう。
主なメリットは、演奏面での有利性と存在としての希少性の2点です。
1. 利き手でピッキングできることの優位性
ギターの音色やリズム、表現の深みを最終的に決定づけるのは、弦を弾くピッキング側の手です。繊細なタッチ、力強いストローク、リズミカルなカッティングなど、音楽のニュアンスはすべてこの手から生まれます。
利き手は、非利き手に比べて器用で、力のコントロールがしやすいため、左利きの人が左手でピッキングを行うことは、表現の幅を広げる上で非常に有利だと考えられています。
特に、速弾きや複雑なリズムを刻む際には、その差が顕著に現れるという意見も少なくありません。
2. ステージで目立ち、覚えてもらいやすい
ギタリスト全体の人口から見ると、左利きギタリストは圧倒的少数派です。様々な調査がありますが、左利きの割合は世界人口の約10%と言われています。(出典:scientific reports on nature.com)そのため、ライブなどで演奏する際に非常に目立ち、観客の印象に残りやすいというメリットがあります。
バンド内での立ち位置が左右対称になることでステージの見栄えが良くなったり、その珍しさから「あの左利きのギタリストがいるバンド」として覚えてもらえたりと、バンド活動において有利に働く場面もあるでしょう。
3. 対面で教わる際に動きが分かりやすい
これは少し意外なメリットかもしれませんが、右利きの先生からギターを教わる場合、向かい合って座ると、ちょうど鏡に映したような形になります。先生の左手の動き(押弦)を、生徒は自分の右手の動きとして直感的に真似しやすいため、フォームや指の運びを視覚的に理解しやすいのです。
メリットのまとめ
左利き用ギターを選ぶことは、演奏表現のポテンシャルを高め、個性的な存在感を放つことにつながります。デメリットと比較し、自分にとってどちらの価値が大きいかを考えてみましょう。
左利き用のギターの入手方法と注意点
左利き用のギター(レフティモデル)を購入しようと決めた場合、どこで、どのように探せば良いのでしょうか。右利き用に比べて選択肢が少ないため、探し方には少しコツが必要です。主な入手方法は「楽器店での購入」と「インターネット通販での購入」の2つです。
楽器店での購入
実際に楽器を触って、音を出して選びたい方には楽器店での購入がおすすめです。ただし、前述の通り、ほとんどの楽器店では左利き用ギターの在庫は非常に少ないのが現状です。そんな中、左利きギタリストの聖地とも言えるのが、東京・御茶ノ水にある「谷口楽器」です。
ここは左利き用モデルの品揃えが非常に豊富なことで知られています。もし足を運べる距離にお住まいなら、一度訪れてみる価値は非常に高いでしょう。一般的な楽器店で購入する場合は、事前に電話などで左利き用モデルの在庫状況を確認してから来店するのが効率的です。また、店頭に在庫がなくても、メーカーが製造しているモデルであれば取り寄せてもらうことも可能です。
取り寄せの注意点
メーカーからの取り寄せは、基本的に購入を前提とした注文となります。試奏してから購入をキャンセルする、ということは原則できないため、慎重に検討する必要があります。
インターネット通販での購入
近くに楽器店がない場合や、より多くの選択肢から比較検討したい場合は、インターネット通販が便利です。大手楽器店のオンラインストアや、Amazon、楽天市場などのECサイトでは、数多くの左利き用モデルが販売されています。ネットで探す際は、以下のようなキーワードで検索すると効率的です。
- 「ギター レフティ」
- 「ギター Left Handed」
- 「ギター LH」
通販での注意点
通販では試奏ができないため、レビューや商品のスペックをよく確認することが重要です。また、ギターは個体差がある楽器なので、信頼できる販売店から購入することをおすすめします。購入後の調整やメンテナンスに対応してくれるショップを選ぶと、さらに安心です。
レフティギターを右利き用に改造できる?

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この質問は、「右利き用ギターを左利き用に改造できますか?」という疑問の裏返しと言えます。結論から言うと、どちらの改造も可能ですが、いくつかの注意点があります。ここでは、より一般的な「右利き用ギターを左利き用に改造する」ケースについて解説します。
どうしても使いたいギターが右利き用モデルしかない場合、リペアショップなどに依頼して左利き仕様に改造(コンバージョン)するという選択肢があります。主な改造内容は以下の通りです。
1. ナットの交換または調整
弦が乗る部分であるナットには、各弦の太さに合わせた溝が彫られています。弦を逆さまに張るためには、この溝を左利き用の弦の並び(6弦側が太く、1弦側が細い)に合わせて調整し直すか、左利き用のナットに交換する必要があります。これは最も重要な改造箇所です。
2. ブリッジ・サドルの調整
アコースティックギターや、エレキギターの一部のモデルでは、弦の張力に合わせてブリッジのサドル(弦が乗る駒)が斜めに設置されています。弦を逆さまに張ると、この角度が合わなくなり、音程(オクターブピッチ)が狂ってしまいます。そのため、サドルを逆向きに設置し直すなどの調整が必要です。
3. ストラップピンの位置変更
立って演奏する際にストラップを取り付けるピンの位置を変更します。右利き用のギターをそのまま逆さまに構えると、バランスが悪く非常に弾きにくいため、適切な位置に移設します。
改造の限界と注意点
改造は可能ですが、完全に純正の左利き用モデルと同じになるわけではありません。多くのギターはボディの形状が左右非対称(特にカッタウェイやコントロールノブの位置)なため、構えたときや操作時に違和感が残ることがあります。改造には専門的な技術と追加費用が必要になることを理解しておきましょう。
この改造で最も有名な例は、伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスです。彼は右利き用のフェンダー・ストラトキャスターを改造して使用し、唯一無二のサウンドを生み出しました。
左利きの天才ギタリストは誰ですか?
ギターの歴史を振り返ると、左利きのスタイルで音楽シーンに計り知れない影響を与え、後世に語り継がれる「天才」ギタリストたちが数多く存在します。
どのスタイルを選ぶべきか迷っているあなたにとって、彼らの存在と選択の物語は、大きな勇気とインスピレーションを与えてくれるに違いありません。
彼らは、どんなスタイルを選んでも偉大なプレイヤーになれるという事実を、その音楽人生をもって証明しています。
ここでは、特に有名な左利きギタリストを、彼らが選んだプレイスタイルのカテゴリに分けて、その背景や音楽性との関連性を深く掘り下げて紹介します。
スタイル | 代表的なギタリスト | 特徴 |
---|---|---|
① 右利き用を改造 | ジミ・ヘンドリックス | 右利き用のギターの弦を張り替え左利きで演奏。常識を覆すサウンドと奏法で、ギターの可能性を爆発させた革命家。 |
② 純正の左利き用を使用 | カート・コバーン (ニルヴァーナ) ポール・マッカートニー (ザ・ビートルズ) トニー・アイオミ (ブラック・サバス) |
メーカーから左利き用として製造された楽器を愛用。自らのアイデンティティとしてレフティスタイルを確立した表現者たち。 |
③ 左利きだが右利き用で演奏 | マーク・ノップラー (ダイアー・ストレイツ) ゲイリー・ムーア ノエル・ギャラガー (オアシス) |
日常生活では左利きだが、ギターは右利きスタイルで習得。膨大な練習量でハンディを乗り越えた、最も現実的な選択をした順応者たち。 |
④ 右利き用を無改造で逆さまに | アルバート・キング 松崎しげる |
弦を張り替えず、右利き用ギターを上下逆さまに構える超個性派。常人には理解しがたい奏法で唯一無二のサウンドを確立した異端児。 |
スタイル① 右利き用を改造した革命家:ジミ・ヘンドリックス
このスタイルの象徴と言えば、ジミ・ヘンドリックスをおいて他にいません。
彼が活動した1960年代は、現在のように左利き用モデルが潤沢にありませんでした。そのため、彼は当時手に入りやすかった右利き用のフェンダー・ストラトキャスターの弦を張り替え、左利きで演奏するスタイルを確立しました。しかし、これは単なる妥協策ではなく、彼の革新的なサウンドを生み出す要因の一つとなったのです。
右利き用を逆さまにすることで、コントロールノブやトレモロアームが通常とは逆の位置(上側)に来ます。これにより、彼は演奏中に左手で巧みにボリュームやトーンを操り、まるで歌うような独特のギターサウンドを生み出しました。
また、ヘッドの形状が逆(リバースヘッド)になることで弦の張力(テンション)が変わり、独特のサステインや倍音を生んだとも言われています。彼の選択は、逆境を創造性に変えた、まさに革命的なものでした。
スタイル② 純正レフティを愛した表現者たち
自身のアイデンティティとして、左利き用のギターを堂々と使用したギタリストも数多くいます。
- カート・コバーン (ニルヴァーナ)
オルタナティブ・ロックを象徴する彼の荒々しくも繊細なサウンドは、フェンダー社のジャガーやムスタングといった左利き用モデルから生み出されました。彼のレフティスタイルは、社会の主流に馴染めない若者たちの心情を代弁する彼の音楽性と相まって、強烈なカリスマ性を放っていました。 - ポール・マッカートニー (ザ・ビートルズ)
彼はベーシストとしてあまりに有名ですが、彼のアイコンであるヘフナー社のヴァイオリンベースも左利き用です。メロディアスで歌心あふれる彼のベースラインは、利き手である左手の繊細なピッキングから生まれていると考えると、非常に興味深いものがあります。 - トニー・アイオミ (ブラック・サバス)
ヘヴィメタルの創始者である彼の重く引きずるようなギターリフは、音楽史を変えました。彼は左利きであることに加え、若い頃の工場事故で右手の指先を失うというハンディを負っていました。
そのハンディを克服するために、彼は通常より細い弦を使い、チューニングを下げ、自作の指キャップを装着して演奏したのです。彼のレフティスタイルは、逆境に屈しない精神力の象徴と言えます。
スタイル③ 右利きスタイルに順応した現実主義者たち
意外に思われるかもしれませんが、プロの世界では「日常生活では左利きだが、ギターは右利き用で演奏する」というギタリストが非常に多く存在します。
これは、「ギターは両手を使う楽器なのだから、ゼロから始めるならどちらでも同じ」という合理的な判断に基づいています。彼らは、非利き手でのピッキングというハンディを、圧倒的な練習量で克服し、トッププレイヤーへと登り詰めました。
- マーク・ノップラー (ダイアー・ストレイツ):指で弦を弾くフィンガーピッキングの名手。彼の繊細で美しいトーンは、多くのギタリストの憧れです。
- ゲイリー・ムーア:魂を揺さぶるエモーショナルな速弾きで知られるブルースロックの巨人。彼のプレイは、練習次第でどんな壁も越えられることを証明しています。
ポイント
どちらのスタイルを選んでも great になれる
前述の通り、カート・コバーンは字を書くのは右手だったにも関わらずギターは左利きで演奏しました。一方で、ゲイリー・ムーアは左利きでありながら右利きスタイルで頂点を極めました。この事実は、「どのスタイルが優れているか」ではなく、「自分に合ったスタイルでいかに情熱を注げるか」が最も重要であることを力強く物語っています。
このように、プロの世界を見ても選択は一つではありません。彼らの音楽を聴き、その演奏スタイルや楽器を調べてみることも、あなた自身の方向性を決める上での素晴らしいヒントになるでしょう。
よくある質問
F 結局、左利きの初心者は「右利き用」と「左利き用」のどちらを選ぶのが正解ですか?
A 絶対的な正解はありません。楽器の選択肢や情報の多さを重視するなら「右利き用」、演奏時の直感的なフィーリングを最優先するなら「左利き用」がおすすめです。この記事で解説したメリット・デメリットを参考に、ご自身が「楽しく続けられそう」と感じる方を選ぶのが一番です。
F 右利き用のギターで練習を始めた場合、ピッキングで不利になりませんか?
A 確かに最初は利き手でない右手でのピッキングに難しさを感じるかもしれません。しかし、ギターは両手を使う楽器であり、どちらのスタイルでも練習は不可欠です。ゲイリー・ムーアなど、左利きでありながら右利きスタイルで頂点を極めたプロも多く、練習次第で十分に克服可能です。
F 左利き用(レフティ)ギターを探していますが、良いお店はありますか?
A 実店舗であれば、東京・御茶ノ水にある「谷口楽器」が左利き用モデルの品揃えで非常に有名です。お近くでない場合は、大手楽器店のオンラインストアやECサイトで「レフティ」「LH」といったキーワードで検索すると、多くのモデルを見つけることができます。
F 右利き用のギターを改造すれば、完全に左利き用と同じになりますか?
A いいえ、完全には同じになりません。ナットやブリッジの調整で弦を正しく張ることは可能ですが、ボディの形状(カッタウェイ)やコントロールノブの位置は右利き用のままです。そのため、演奏性において多少の違和感が残る場合があります。改造は専門知識が必要なので、必ずリペアショップに相談しましょう。
総括:左利きなのに右利きギターを選ぶ最終結論
記事のポイントをまとめます。
-
- 左利きがギターを始める際、右利き用か左利き用(レフティ)かで悩むのは自然なこと
- 右利き用と左利き用のギターは、構え方やパーツの配置がすべて逆の鏡写しの関係にある
- 右利き用ギターを選ぶ最大のメリットは、楽器のモデル、色、価格帯の選択肢が圧倒的に豊富なこと
- 市販の教則本やWeb上の学習コンテンツのほとんどは右利き用に作られており、情報収集が容易
- 左利き用ギターは生産数が少なく、同じモデルでも右利き用に比べて価格が割高になる傾向がある
- 左利き用のデメリットには、在庫の少なさや友人との楽器の貸し借りができない点も挙げられる
- 一方で、左利き用ギターは利き手でピッキングするため、繊細な音のニュアンスを表現しやすいとされる
- 少数派であるため、ステージ上で目立ちやすく、個性として覚えてもらいやすいというメリットもある
- 右利きの指導者と対面で練習する際、動きが鏡写しになるためフォームを視覚的に理解しやすい
- どちらのスタイルを選んでも、初心者のうちは両手とも練習が必要であり、上達に必要な努力量に大差はない
- 右利き用のギターをナット交換などで左利き仕様に改造することも可能だが、追加費用と専門知識が必要
- ジミ・ヘンドリックスは右利き用を改造し、カート・コバーンは純正の左利き用を使用するなど、プロの選択も様々
- 日常生活では左利きでも、ギターは右利き用で名手となったプロギタリストも数多く存在する
- 最終的に最も重要なのは、自分が精神的な違和感なく、楽しく練習を続けられるスタイルを選ぶこと
- 両方のメリット・デメリットを十分に理解し、他人の意見に惑わされず、自分が納得できる一本を選ぶことが後悔しないための鍵